読書

ライフステージと真実②

前回ではライフステージの裏で、多くの決断が必要になるという話を書きました。真美には決断をした経験があまりないのでそれが就職活動でも悪影響を及ぼしてきたことがわかります。

真実は持っているものを生かし、それなりにきちんとした有期の公務員の仕事を手に入れます。仕事を選んで手に入れたわけではありません。そして、選択について満足したのか、してないのかそれすらもわかっていません。仕事、プライベート、その他ライフステージへの理解がないまま時間が経ち、気づけば30を超えてしまいます。

受験、就職で大きな選択をしてきたわけではないのに、いよいよ結婚に対するスタンスを明確にしないといけない年がやってきました。

今までのライフステージに対しても、自分で選んできたことなら良いのです。学生生活でやるべきとされるスポーツや勉強もその先にあるのは大学や、社会人生活です。誰もが大学に行く必要もありませんし、スポーツ選手になるわけでもありません。必要ないのなら捨ててしまって構いません。

私はライフステージの選択で常に正解を選ぶのは難しいと考えています。

自分にとってどんな勉強が必要なのか、またどんな選択がベストだったのかはずっとわからないものです。それでも勉強をしてきたこと、スポーツに区切りをつけたこと、都会を選び東京を取ったなどの数々の選択は自分にとって大きな財産です。

真実の婚活は自分から主体的にスタートしたものではなく、親や職場など近くの世界の慣習からきています。結婚したいという強い気持ちも、結婚しないという意思のどちらも持っていません。どちらを選ぶのか、あるいはこの瞬間に決めず、思いついた時まで待つのか。30歳の真実は曖昧な環境の中で生きています。

これまでのライフステージの変化に対して、選択することなく、鈍感に過ごしてきた真実は常に親などの自分以外ではないものに決断させてきました。果たして受験、就活に続き結婚でも親の言う通りにできるのでしょうか。

婚活

ここからが真実の婚活の話です。小野里という親に紹介してもらったきちんとした結婚相談所に登録し、金居という名門大出身の有名企業経験のある男性を紹介されます。収入に問題はなく、結婚したら穏やかで家庭的な結婚生活が待っているように思われました。もちろん、地元できちんとした男性と結婚できると言う話に親も断る理由などありません。ただ、真実はファッションセンスや雰囲気が気に食わず断りを入れます。

これがおそらく真実の初めての選択でしょう。今までは親の言う通りにしてきたのに恋愛というステージになって自我が反応してしまう。どうしても恋愛の好みが出てしまう。これまでのライフステージの決め手は親だったのに、自分で選びたくなり、親の好みを受け入れられない。

次に会った男性は相談所の写真を見て選んだ真実好みの外見をしている花垣という男です。花垣はイケメンで容姿の整った歯科医の息子です。外見や雰囲気があり、前橋から出たことのない真実は高崎出身というだけで花垣に期待します。どうやら高崎は商業の街で、前橋は県庁などがある県の中心のイメージがあるようです。

母は歯科医の息子ではあるものの、歯科医の学部を出ていない歯科助手という職、また自営業という点に懸念を示しますが、とにかく二人は会うことになりました。会ってみると真実はがっかりします。顔は写真ほど良くないように見え、初の顔合わせなのにファミレスでメロンソーダを頼むTPOのなさ、一番残念だったのは会話が全くできないことです。何を言っても何を聞いても反応が薄く、会話が続かないことに嫌気がさし、断りを入れました。

婚活で何を重視し選ぶべきか

結婚は経済力なのか、容姿を含めた恋愛の延長戦なのか、良い結婚のイメージが浮かぶ人なのかは人によって分かれます。この小説を読んだ人の中でも架以外の男性で真実が結婚すべきなのは意見が分かれます。

金居には経歴と経済力がきちんとあり、ボランティアをし、汗を流してきた逞しさを持ち、真実に対して気に入ってくれている様子があるので結婚生活のイメージがはっきりします。親の言う通りにしてきた真実には親が前向きになっていると言うことも大きなメリットでしょう。懸念されたファッションも金井の経済力ならば予算を割いて解決することは十分可能です。

花垣は真実が望んできた容姿があります。容姿は過小評価されがちですが何十年も同じ顔を見る以上は恋愛の場合よりも重要かもしれません。確かに金居とは違い、話ができる雰囲気ではありませんがこれから教えていけばいいというふうに捉えることもできます。性格は変えられるが容姿は変えられないと言うのが大きなポイントだと思います。

これを私たちに置き換えた時、自分は何を重視し、何を改善も含め妥協するかが重要と考えます。

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